言語聴覚学科1年次必修科目の「言語聴覚障害学概論」を紹介します。
この科目では、これまでに「アイマスクを使用しての視覚障がい体験」、「車椅子体験」、「高齢者疑似体験スーツを着用しての高齢者体験」という3つの障害疑似体験をふまえ、結果をまとめるグループワークを実施しました。
今回、学生は、「啓発・広報」、「デザイン開発」、「共生の街づくり」、「地域参加支援」、「人権尊重」、「生活支援」のゼミごとに発表を行いました。
▼発表の様子。学生は、障がいによる生活の困難さや恐怖感など「3つの疑似体験から感じ取ったこと」や「調べる中で判明した社会の現状」と「言語聴覚士として自分たちにできることとは何か」について発表を行いました。
学生が体験した疑似体験はみな同じなのですが、ゼミに課せられた「啓発・広報」、「デザイン開発」、「共生の街づくり」、「地域参加支援」、「人権尊重」、「生活支援」の6つの異なる視点から、社会の課題と改善案について考えているため、発表の内容、論点はもちろん、改善点の提案にもゼミ毎の独自性が発揮されていました。そこに発表者の個性の差も加わり、活発で楽しい雰囲気の学修の場になりました。
例えば、「地域参加支援ゼミ」では、「車椅子体験」を踏まえて、タイプの異なる車椅子の長所や短所を示し、地域参加に向けて車椅子を利用する方がどうすればより快適に過ごせるかについて結果を発表しました。そこで目を引いたのは、車椅子の移動の「機能」ではなく、利用者の「座り心地」という「心情」に寄り添い、車椅子のクッションの素材に着目した改善への提案でした。それぞれのグループが発揮してくれるこうした独自性を養っていきます。
この講義では教員が指示を出すのではなく、学生主体で進めていき、自発的な学びを大切にしています。また、実践的・体験的な活動を行うことで「障がい者と健常者の共生」について単なる知識・技能として覚えるだけではなく、五感を総動員して感じ、そして、より掘り下げた視点で考える学修ができたのではないでしょうか。