言語聴覚学科1年次必修科目の「言語聴覚障害学概論」を紹介します。
この授業は、機能障がいとしてのコミュニケーションの問題だけでなく、日常行動の制限や社会参加の制約をもたらす言語聴覚障がいについて、その困難や不自由さなどを知識ではなく感覚的なレベルで理解し、他者に発信することを目的としています。
今回は、学生が2人1組になって大学内の様々な場所で全5回の障がい体験を行いました。
【視覚障がい体験】
片方の学生がアイマスクをした状態になり、パートナーの学生の補助を受けながら自動販売機を使ったり階段の上り下りを行ったりしました。普段は何気なく行っている日常生活の動作にも苦労しつつ、お互いに積極的に声を掛け合う様子が見られました。
【片麻痺障がい・車椅子体験】
利き手側に段ボールを巻き付けて片麻痺の状態を再現し、ペンで文字を書く・ハサミで紙を切る等の細かい作業を行ったり、車椅子に乗って段差を乗り越えながら移動したりしました。
【高齢者疑似体験】
視覚・手指感覚・聴力などに制限がある状態で大学内を周り、高齢者の疑似体験を行いました。このような体験を通して、高齢者の生活における困難さや障壁などを発見しました。
【難聴体験】
耳栓をした状態でヘッドホンから雑音を流して音が聞こえない状態を作り、コミュニケーションを試みたり、実際の臨床場面で使用する聴力検査機器に触れたりしました。
【言語・運動系障がい体験】
「失語症」と「構音障がい」を疑似体験しました。失語症によって生じる言語を理解する力と表出する力それぞれの不具合を疑似的に再現した状態でコミュニケーションをとったり、構音障がいの話し方を聞いて内容を聞き取ったりしました。
当事者の状況を実際に体験して理解することで、より患者さんに寄り添ったリハビリテーションが行えるようになるのではないでしょうか。この授業では、障がい体験を通じて感じたことや学んだことを、最終的にプレゼンテーションとしてグループごとに発表します。